目次
次世代につけ押した平成人?
2018年1月5日の朝日新聞朝刊の投書欄に、次の投稿が掲載されました。
次世代につけ押した平成人
無職 吉田正信(群馬県 68)
昭和は、戦争拡大、敗戦、貧困、がむしゃら、国民総中流、バブル謳歌と、悲惨なこともあったが、楽しいこともたくさんあった。メリハリに富んだ時代だった。
平成は、バブル崩壊から景気拡大が失速し、政府が毎年大量の赤字国債を発行して景気工場を目指しても国民は動かず、デフレは進行。世の中は暗くなる一方の時代だった。(省略)
労働人口は減る一方で借金返済はかなわず、このままでは日本社会の破綻は避けられないように思える。平成人は、自分たちで問題を解決できず、そのつけを次世代に押しつけた最悪の世代だった、と歴史に刻まれるであろう。
(2018年1月5日付朝日新聞朝刊より引用)
ツイッターの反応
ツイッター上では、朝日新聞に掲載された投書に対し、「老害」批判のツイートが拡散しています。
みんな!
朝日新聞の声欄にとんでもない投書が降臨したよ!
刮目せよ!これが朝日新聞読者の老害だ! pic.twitter.com/X0bsGU0Krb— Redina@110cc (@redcrazycat) 2019年1月5日
批判を浴びた理由
投書が批判を浴びている理由はいくつかあると考えられます。
理由① 投稿者は昭和の楽しいことを謳歌できた世代
投稿者は68歳ということで、バブルなど昭和時代の楽しいことを謳歌できた世代であり、昭和から平成にかけて問題を次の世代に押し付けた世代です。
それが、氷河期世代という平成の苦しい時代しか知らない世代から批判を浴びています。
昭和後半生まれの氷河期世代だが、バブルの謳歌など楽しいことなどすでになかった。
平成人の前に、もっと前の世代、バブルも謳歌できて年金もしっかりもらえた世代、その世代からの押し付けだと思う団塊の世代あたりかな、好き勝手言い放題、やり放題
今の若者はその犠牲を被っていると思う— Ryuji (@ryujisugi) 2019年1月5日
理由② 投稿者自身が「平成人」
投書欄に投稿した人の年齢は68歳です。
ということは、平成元年には38歳ということになります。
つまり、投稿者自身が平成時代を現役バリバリで過ごした「平成人」ということになります。
「平成人」である投稿者が何もできなかったにも関わらず、「平成人」を批判するのは筋違いではないか、という批判です。
「次世代につけ押し付けた平成人」と68歳の人。平成人‥もしそういう言葉があるとしたら、それは平成に生まれた人ではなく、平成の時代を作った人だよねえ。この記事が現在のなら、68歳は平成元年に38歳で、まさにこの人が仕事ざかりに平成をつくってきた平成人。 https://t.co/UanRvjXsHo
— 佐々木俊尚 (@sasakitoshinao) 2019年1月5日
理由③ 平成の次の時代は、もっと悲惨
平成の次の時代は、少子高齢化や年金問題などの社会問題が深刻化し、平成よりも大変な時代になることが予想されています。
そうした中、年金を受け取れる世代である投稿者は、「逃げ切り」ができる世代として、批判の的となっています。
後先考えず美味しいところだけ掠め取って国土ガッタガタに荒廃させて次世代である平成生まれに苦労は全て押し付けて高い年金受け取って逃げ切る還暦あたりから上の昭和世代がいかに無自覚で無責任であるかが本当によくわかります。
— よしーき@ほぐしもん (@yoshiki_vwg5gt) 2019年1月5日
歴史は繰り返す
同様の批判は、昭和の時代にもありました。
福田赳夫・元首相が、かつて「明治人」と自称して、批判を浴びたことがあるそうです。
昔話になるけれども、昭和のころに福田赳夫首相(福田康夫さんのお父さん)が「明治人の気骨」と自称してて、明治38年生まれのあんたは明治人じゃなくて昭和人だろう、と指摘されてたことが。明治人というのは元勲とか夏目漱石とか江戸末期に生まれて明治を作った人。
— 佐々木俊尚 (@sasakitoshinao) 2019年1月5日
歴史は繰り返すのですね。
平成の次の時代の終わり頃にも、再び「老害」論争が起きるのでしょうね。