泉房穂・明石市長の引退表明が賛否両論を呼んでいる理由(2)




こちらの記事の続きです。

泉房穂・明石市長が政治家引退を表明 兵庫県明石市の泉房穂(いずみふさほ)市長は2022年10月12日、同市議会が同日午後の本会議で泉市長に...

政治家の発言まとめ

泉房穂・明石市長の政治家引退表明に対する、各政治家の発言をまとめました。

熊谷俊人(千葉県知事)「負の側面が見えてくるのは10年後20年後」

熊谷俊人氏のfacebookページより転載。

全文はこちら。(太字は、当サイトが付したもの。)

おはようございます。明石市長が暴言で今期限りで退任されるとのこと。
養育費を受け取れていない方にかわって市が本来支払うべき人に催促し、それでも支払われない場合に市が立て替える制度など、私も参考にしたこともありますし、千葉市のパートナーシップ制度について泉市長自らが千葉市に視察されるなど、情熱的で行動的な市長だっただけに大変残念です。
政治家の出処進退は自身で決めることなので私からはこれ以上は申し上げられませんが、業績への高い評価をもって言動等を擁護する向きは違うと思います。二元代表制の一翼を担う議会・議員への度を越した発言や議会が反対したものを専決処分で通そうとした手法は容認されるものではありません。
国葬や安倍政権に丁寧なプロセスがなく強引だったと否定する方が泉市長の言動は擁護するのはダブルスタンダードではないかとも感じます。
私も14年首長をしていますので、自身の思い切った政策を時には制約する議会を首長が煩わしく思う気持ちは分からなくはありませんが、首長の権限は強く、暴走や独善化を防ぐ仕組みが必要です。首長の行動を監視し、少数の意見も含めて反映する議会は民主制の国家における地方自治において必要不可欠な存在と言えます。
民主主義の遅さ・悠長さに飽きた国民が一人の卓越したリーダーが最短距離で思い切った政策を取ることができる、そんな存在や制度に魅力を感じがちです。
ですが、プーチン氏の暴走を見れば明らかなように、一人のリーダーに権限と責任を預けるのは危険です。人はそれほど完璧ではありません。
副市長が職員への暴言等に耐えかねて2人とも辞任するなど、組織を統率することができていなかった可能性もあります。
公務員組織と一体化しては、何のために一人だけ有権者から選ばれ、公務員組織を統率しているのか分かりませんので、首長はある種異分子でなければいけないのは事実です。しかし、組織全体のパフォーマンスを上げるにはトップと組織・職員との信頼関係は必要となります。
私も大組織出身ですので、政治の世界に入ると、個人としては有能でも、組織人としてどうかと思う人がいるのも確かです。今回の件、改めて他山の石としたいと思います。
なお、明石市長の主に子育て支援に特化した施策について評価が高いのですが、これらの施策は毎年莫大な予算を必要とするものであり、予算を振り向ければ基本的に実現できる施策でもあります。
ということは工夫ではなく財源配分の話であり、これだけの財源を子育て支援に振り向ければ、当然その金額分、マイナスとなった分野があるわけです。マスコミはこの部分をあまり報道しません。
泉市長は、インフラ整備など経済産業施策の予算を削減し、子育て支援に回しています。これは短期的にはマイナス面が見えませんが、中長期的には成長の種を失うことになります。負の側面が見えてくるのは10年後20年後でしょう。
例えば千葉県は堂本県政で強烈な行革を行い、危機的な財政状況を健全な状況まで回復させましたが、健全化後もその路線が基本的に維持されてきたため、経済産業施策が大幅に遅れ、その負の側面が今まさに顕在化しています。私は市長時代に行財政改革を進めましたが、企業誘致や規制緩和、民間活力導入などを進め、負の側面を減らすよう意識してきました。
明石市の政策は神戸市が産業の受け皿になることで、そのデメリットが見えにくくなっている側面もあります。神戸市と明石市の位置関係的には正しい方向性だったとも言えるかもしれません。
ただ、子育て支援施策は自治体にとって収支面だけで見るとマイナスになりやすいという事実が日本ではあまり認識されていないのも感じます。マスコミや雑誌の「住みやすい都市ランキング」的なものはよく出る一方、「ビジネスしやすい都市ランキング」的なものはあまり広まらないので、首長や行政はどうしても生産都市戦略ではなく消費都市戦略、ベッドタウン戦略を取りがちです。
子育て支援は保育所・学校など様々な民生部門の支出が増える一方で、将来その子ども達の多くが市外へ転出する場合、投資を回収できず、収支面でマイナスになりやすいです。
もちろん、収支面でマイナスだから子育て支援に取り組まないということはありえません。社会や街の活力には若い世代の流入は必要です。ただ、収支面のマイナスはきちんと理解すべきです。
逆に高齢者が増えるのはマイナスと単純に考えがちですが、政策的にあえて呼び込む、CCRC(健康時から介護時まで継続的ケアを提供するコミュニティ)的な施策は収支的にはプラス、かつ医療や福祉等で現役世代の雇用を生み出すケースも多く、世界の様々な都市が政策として採用しています。
手厚い福祉で他自治体から一時的に人口を吸い取るよりも、雇用を増やすこと、もしくは雇用の受け皿からのアクセスを改善することも重要な論点です。また、基礎自治体の主な収入源は固定資産税であり、固定資産の形成、つまり投資をいかに増やすか、でもあります。
一人の市民として見れば、なんでも無料の方が嬉しいし、補助を貰えると嬉しいでしょう。それに対して将来に備えた予算というのは効果がすぐには見えないため、評価されずらいところがあります。
泉市長の政策を批判しているわけではありません。思い切った財源配分は今後、大いに他自治体の参考となるでしょう。各自治体が独自の構想で独自の政策を行い、うまくいった部分が横展開され、全ての国民が享受できる、これこそが地方分権の良さだと思います。
ただ、全ての施策はトレードオフです。予算の振り分けについては、正の部分と負の部分を正しく把握して総合的に評価するべきです。そして、単に予算の振り分けではない、民間との連携や細かい施策の工夫こそが行政の腕の見せ所でもあるということを多くの方に理解して頂ければ幸いです。

松井一郎(大阪市長)

梅村みずほ(参議院議員・日本維新の会)

田村広行(西東京市議会議員・無所属)

飯田哲史(前大阪市会議員・日本維新の会)

矢田わか子(前参議院議員・国民民主党)

椛澤洋平(千葉市議会議員・日本共産党)

貴志信智(久喜市議会議員)

辻本達也(明石市議会議員・日本共産党)

清山知憲(宮崎市長)

立花孝志(NHK党・党首)

齊藤健一郎(NHK党・副党首)

吉田康一郎(中野区議会議員・「育児支援と防災緑地と平らな歩道の中野を創る会」代表)

八幡愛(れいわ新選組・統一地方選選対副本部長)

荻野稔(大田区議会議員)

長島昭久(衆議院議員・自由民主党)

乙武洋匡(参議院議員選挙立候補者)

続きはこちらです。

こちらの記事の続きです。 泉市長に好意的な意見まとめ ここからは、泉房穂・明石市長に好意的・肯定的な意見をまとめていきま...
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