「検察庁法改正案」について、当サイトなりに概要をまとめました。
「検察庁法改正案」とは
議案の正式名称は「国家公務員法等の一部を改正する法律案」です。
これは、33本の法案改正がまとめられた「束ね法案」で、検察庁法の一部改正も含まれています。
議案の情報は、内閣府や衆議院のページで見ることができます。
議案の概要
「国家公務員法等の一部を改正する法律案」の概要を、内閣府作成の資料から抜粋します。
(資料元:https://www.cas.go.jp/jp/houan/200313/siryou1.pdf)
議案のポイントを当サイトなりにまとめると、次の通りです。
- 国家公務員の定年を60歳から65歳に延長する。
- 役職定年を導入する(基本的には60歳)。同時に、役職定年後も役職を続けられる特例を設ける。
検察官の場合は、次のようになります。
- 検察官の定年は63歳から65歳に延長する。
- 次長検事・検事長(高等検察庁の長)・検事正(地方検察庁の長)の役職定年を63歳にする。同時に、役職定年後も役職を続けられる特例を設ける。
議案の提出理由
「国家公務員法等の一部を改正する法律案」の提出理由は次の通りです。
理由
人事院の国会及び内閣に対する平成三十年八月十日付けの意見の申出に鑑み、国家公務員の定年を段階的時間勤務の制度を設けるほか、年齢六十年を超える職員に年齢六十五年に引き上げるとともに、管理監督職勤務上限年齢による降任及び転任並びに定年前再任用短に係る給与及び退職手当に関する特例を設ける等の措置を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。
「人事院の国会及び内閣に対する平成三十年八月十日付けの意見」は、人事院のページに掲載されています。
「人事院の意見の申出」の概要を紹介するため、平成30年人事院勧告のページより「人事院総裁談話(平成30年8月10日)」を引用します。
4 本年は、国家公務員の定年を段階的に65歳に引き上げるための国家公務員法等の改正についての意見の申出を行いました。
少子高齢化の急速な進展、若年労働力人口の減少により、意欲と能力のある高齢者が活躍できる場を作ることが社会全体の重要な課題となる中、政府において、国家公務員の定年の引上げについて具体的な検討が進められ、本年2月に論点整理が行われるとともに、人事院に対して検討要請がありました。人事院としては、複雑高度化する行政課題に的確に対応し、質の高い行政サービスを維持していくためには、60歳を超える職員の能力及び経験を本格的に活用することが不可欠であり、定年を段階的に65歳に引き上げることが必要と考えます。
定年の引上げを行うに当たっては、短時間勤務制の導入により60歳を超える職員の多様な働き方を可能とすること等の措置を講ずるとともに、組織活力を維持する観点から、当分の間、役職定年制を導入することとしています。また、60歳を超える職員の年間給与は、民間企業における高齢期雇用の実情を考慮し、60歳前の7割水準に設定することとしています。
定年を段階的に引き上げる中では、能力・実績に基づく人事管理を徹底するなど人事管理全体を見直していく必要があります。さらに、定年の引上げを円滑に実施できるよう、60歳を超える職員の能力及び経験を本格的に活用するための環境整備について、公務全体で取り組む必要があります。
(「人事院総裁談話(平成30年8月10日)」より引用)
議案の発端
人事院の資料によると、「国家公務員法等の一部を改正する法律案」の発端は、平成20(2008)年に制定された「国家公務員制度改革基本法」(平成二十年法律第六十八号)第10条にあります。
(参照:人事院「定年を段階的に65歳に引き上げるための国家公務員法等の改正についての意見の申出のポイント」)
この法律は、自民党・民主党・公明党の合意による修正を経て成立しました。
(参照:今後の公務員制度改革の在り方に関する意見交換会(第1回) 参考資料1「国家公務員制度改革を巡るこれまでの経緯」)
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