原子力に関して、フランスが日本ではなく中国と組むことを選んだ理由




日本とフランスの原子力に関する共同研究はストップへ

2018年11月28日、日本とフランスが進めていた原子力に関する共同研究に関して、悪いニュースが飛び込んできました。

日本がフランスと進めている次世代原子炉開発について、仏政府が2020年以降、計画を凍結する方針を日本側に伝えたことがわかった。仏政府は19年で研究を中断、20年以降は予算を付けない意向という。日本はすでに約200億円を投じている。開発計画の大幅な見直しは必至で、日本の原子力政策にとっても大きな打撃となる。

(引用元:日本協力の次世代炉、仏が凍結へ 原子力政策に打撃:日本経済新聞

フランスが共同研究をストップする理由について、日経の記事では次のように説明しています。

フランスのマクロン大統領は27日、フランスの原発依存度を現在の7割以上から5割程度にまで引き下げる方針を明らかにした。使用済み核燃料を再利用する高速炉の実用化は緊急性がないと判断したとみられる。

(引用元:日本協力の次世代炉、仏が凍結へ 原子力政策に打撃:日本経済新聞

しかし、フランスが共同研究をストップする理由は、マクロン政権が脱原発の方向に進んでいるから、というだけではありません。

フランスと中国の原子力研究協定

2018年1月、フランスと中国が、原子力研究で協力を進める旨の協定を結んだことが発表されました。

記事:France and China to enhance nuclear energy cooperation – World Nuclear News

この記事を読んでわかることは、フランスは原子力の研究を止めるわけではないということです。

フランスのマクロン政権は、原子力の研究を日本ではなく中国と進めていく、ということなのです。

ここで注意しなければならないことは2つあります。

フランスも中国も核保有国

1つ目に注意しなければならないことは、フランスも中国も核保有国であるということです。

原子力の研究は、核兵器の研究につながっていくことです。

フランスと中国という「核保有国」同士で手を組むことで、アメリカに対抗していきたいということなのでしょう。

ということで、アメリカのトランプ政権との関係が良好な日本の安倍政権は、必然的にマクロン政権に切り捨てられたわけです。

日本企業の出資が無駄になるおそれ

2つ目に注意しなければならないことは、日本企業(三菱重工業と日本原燃)がフランスの原子力大手・アレヴァ(アレバ)救済のために出資しているということです。

プレスリリース:仏アレバグループ新会社への出資に向けた条件で大枠合意|三菱重工(2017-02-03)

プレスリリース:仏アレバグループ新会社(NewCo)向け出資に係る最終合意について|三菱重工(2017-03-21)

プレスリリース:仏New NP社への出資に向け フランス電力、アレバグループと正式合意|三菱重工(2017-07-31)

プレスリリース:仏Framatome社(旧称New NP社)への出資を完了 フランス電力(EDF)、アレバグループと原子力発電技術供給へ戦略的協業|三菱重工(2018-01-05)

プレスリリース:仏Orano社(旧称New AREVA Holding社)への出資を完了 日仏原子力産業のさらなる連携強化を目指す|三菱重工(2018-02-27)

プレスリリース:アレバが設立した新持株会社への出資に関する契約の署名について – 2017年3月21日 | 発表・お知らせ > トピックス – 日本原燃株式会社

プレスリリース:オラノ(旧称ニュー・アレバ・ホールディング)への出資完了について – 2018年2月27日 | 発表・お知らせ > トピックス – 日本原燃株式会社

三菱重工と日本原燃が出資した会社の親会社が、フランス電力会社(EDF社)です。

EDF社は、フランス政府が株式の85%を保有しており、実質的には国有会社です。

したがって、日本企業(三菱重工業と日本原燃)とEDF社の協力関係は、フランス政府の意向に大きく左右されるということです。

日本は金だけ出させられて、ハシゴを外された感じですね。

外交問題を読み解くためには

外交問題を読み解くためには、二国間の関係だけを見るのではダメで、その他の国との関係も見なければなりません。

そういう意味で、この記事の最初に取り上げた日経の記事は、中国について言及していない点で分析が甘いです。

原子力に関する本

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